芥川龍之介賞
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芥川龍之介賞(あくたがわりゅうのすけしょう)、通称芥川賞は、純文学の新人に与えられる文学賞である。文藝春秋社内の日本文学振興会によって選考が行われ、賞が授与される。
目次
概要
大正時代を代表する小説家の一人・芥川龍之介の業績を記念して、友人であった菊池寛が1935年に直木三十五賞(直木賞)とともに創設し以降年2回発表される。第二次世界大戦中の1945年から一時中断したが1949年に復活した。新人作家による発表済みの短編・中編作品が対象となり、選考委員の合議によって受賞作が決定される。受賞者には、正賞として懐中時計、副賞として100万円が授与され、受賞作は『文藝春秋』に掲載される。
選考委員は、小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・高樹のぶ子・堀江敏幸・宮本輝・山田詠美・吉田修一の9名(2018年上半期から)。選考会は、料亭『新喜楽』の1階で行われる(直木賞選考会は2階)。受賞者の記者会見と、その翌月の授賞式は、長く東京會舘で行われていたが、同館の建て替えに伴い、現在は帝国ホテルで行われている。
受賞者一覧
1930年代
- 第1回(1935年上半期) - 石川達三「蒼氓」
- 第2回(1935年下半期) - 該当作品なし(二・二六事件のため審査中止)
- 第3回(1936年上半期) - 小田嶽夫「城外」、鶴田知也「コシャマイン記」
- 第4回(1936年下半期) - 石川淳「普賢」、冨澤有爲男「地中海」
- 第5回(1937年上半期) - 尾崎一雄「暢気眼鏡」他
- 第6回(1937年下半期) - 火野葦平「糞尿譚」
- 第7回(1938年上半期) - 中山義秀「厚物咲」
- 第8回(1938年下半期) - 中里恒子「乗合馬車」他
- 第9回(1939年上半期) - 半田義之「鶏騒動」、長谷健「あさくさの子供」
- 第10回(1939年下半期) - 寒川光太郎「密獵者」
1940年代
- 第11回(1940年上半期) - 高木卓「歌と門の盾」(受賞辞退)
- 第12回(1940年下半期) - 櫻田常久「平賀源内」
- 第13回(1941年上半期) - 多田裕計「長江デルタ」
- 第14回(1941年下半期) - 芝木好子「青果の市」
- 第15回(1942年上半期) - 該当作品なし
- 第16回(1942年下半期) - 倉光俊夫「連絡員」
- 第17回(1943年上半期) - 石塚喜久三「纏足の頃」
- 第18回(1943年下半期) - 東野邊薫「和紙」
- 第19回(1944年上半期) - 八木義徳「劉廣福」、小尾十三「登攀」
- 第20回(1944年下半期) - 清水基吉「雁立」
(第二次世界大戦のため中断)
1950年代
- 第23回(1950年上半期) - 辻亮一「異邦人」
- 第24回(1950年下半期) - 該当作品なし
- 第25回(1951年上半期) - 安部公房「壁 S・カルマ氏の犯罪」、石川利光「春の草」他
- 第26回(1951年下半期) - 堀田善衛「広場の孤独」「漢奸」その他
- 第27回(1952年上半期) - 該当作品なし
- 第28回(1952年下半期) - 五味康祐「喪神」、松本清張「或る『小倉日記』伝」
- 第29回(1953年上半期) - 安岡章太郎「悪い仲間・陰気な愉しみ」
- 第30回(1953年下半期) - 該当作品なし
- 第31回(1954年上半期) - 吉行淳之介「驟雨」その他
- 第32回(1954年下半期) - 小島信夫「アメリカン・スクール」、庄野潤三「プールサイド小景」
- 第33回(1955年上半期) - 遠藤周作「白い人」
- 第34回(1955年下半期) - 石原慎太郎「太陽の季節」
- 第35回(1956年上半期) - 近藤啓太郎「海人舟」
- 第36回(1956年下半期) - 該当作品なし
- 第37回(1957年上半期) - 菊村到「硫黄島」
- 第38回(1957年下半期) - 開高健「裸の王様」
- 第39回(1958年上半期) - 大江健三郎「飼育」
- 第40回(1958年下半期) - 該当作品なし
- 第41回(1959年上半期) - 斯波四郎「山塔」
- 第42回(1959年下半期) - 該当作品なし
1960年代
- 第43回(1960年上半期) - 北杜夫「夜と霧の隅で」
- 第44回(1960年下半期) - 三浦哲郎「忍ぶ川」
- 第45回(1961年上半期) - 該当作品なし
- 第46回(1961年下半期) - 宇能鴻一郎「鯨神」
- 第47回(1962年上半期) - 川村晃「美談の出発」
- 第48回(1962年下半期) - 該当作品なし
- 第49回(1963年上半期) - 後藤紀一「少年の橋」、河野多惠子「蟹」
- 第50回(1963年下半期) - 田辺聖子「感傷旅行 センチメンタル・ジャーニィ」
- 第51回(1964年上半期) - 柴田翔「されどわれらが日々──」
- 第52回(1964年下半期) - 該当作品なし
- 第53回(1965年上半期) - 津村節子「玩具」
- 第54回(1965年下半期) - 高井有一「北の河」
- 第55回(1966年上半期) - 該当作品なし
- 第56回(1966年下半期) - 丸山健二「夏の流れ」
- 第57回(1967年上半期) - 大城立裕「カクテル・パーティー」
- 第58回(1967年下半期) - 柏原兵三「徳山道助の帰郷」
- 第59回(1968年上半期) - 丸谷才一「年の残り」、大庭みな子「三匹の蟹」
- 第60回(1968年下半期) - 該当作品なし
- 第61回(1969年上半期) - 庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」、田久保英夫「深い河」
- 第62回(1969年下半期) - 清岡卓行「アカシヤの大連」
1970年代
- 第63回(1970年上半期) - 吉田知子「無明長夜」、古山高麗雄「プレオー8の夜明け」
- 第64回(1970年下半期) - 古井由吉「杳子」
- 第65回(1971年上半期) - 該当作品なし
- 第66回(1971年下半期) - 李恢成「砧をうつ女」、東峰夫「オキナワの少年」
- 第67回(1972年上半期) - 畑山博「いつか汽笛を鳴らして」、宮原昭夫「誰かが触った」
- 第68回(1972年下半期) - 山本道子 「ベティさんの庭」、郷静子「れくいえむ」
- 第69回(1973年上半期) - 三木卓「鶸」
- 第70回(1973年下半期) - 野呂邦暢「草のつるぎ」、森敦「月山」
- 第71回(1974年上半期) - 該当作品なし
- 第72回(1974年下半期) - 日野啓三「あの夕陽」、阪田寛夫「土の器」
- 第73回(1975年上半期) - 林京子「祭りの場」
- 第74回(1975年下半期) - 中上健次「岬」、岡松和夫「志賀島」
- 第75回(1976年上半期) - 村上龍「限りなく透明に近いブルー」
- 第76回(1976年下半期) - 該当作品なし
- 第77回(1977年上半期) - 三田誠広「僕って何」、池田満寿夫「エーゲ海に捧ぐ」
- 第78回(1977年下半期) - 宮本輝「螢川」、高城修三 「榧の木祭り」
- 第79回(1978年上半期) - 高橋揆一郎「伸予」、高橋三千綱「九月の空」
- 第80回(1978年下半期) - 該当作品なし
- 第81回(1979年上半期) - 重兼芳子「やまあいの煙」、青野聰「愚者の夜」
- 第82回(1979年下半期) - 森禮子「モッキングバードのいる町」
1980年代
- 第83回(1980年上半期) - 該当作品なし
- 第84回(1980年下半期) - 尾辻克彦「父が消えた」
- 第85回(1981年上半期) - 吉行理恵「小さな貴婦人」
- 第86回(1981年下半期) - 該当作品なし
- 第87回(1982年上半期) - 該当作品なし
- 第88回(1982年下半期) - 加藤幸子 「夢の壁」、唐十郎「佐川君からの手紙」
- 第89回(1983年上半期) - 該当作品なし
- 第90回(1983年下半期) - 笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ」
- 第91回(1984年上半期) - 該当作品なし
- 第92回(1984年下半期) - 木崎さと子「青桐」
- 第93回(1985年上半期) - 該当作品なし
- 第94回(1985年下半期) - 米谷ふみ子「過越しの祭」
- 第95回(1986年上半期) - 該当作品なし
- 第96回(1986年下半期) - 該当作品なし
- 第97回(1987年上半期) - 村田喜代子「鍋の中」
- 第98回(1987年下半期) - 池澤夏樹「スティル・ライフ」、三浦清宏「長男の出家」
- 第99回(1988年上半期) - 新井満 「尋ね人の時間」
- 第100回(1988年下半期) - 南木佳士「ダイヤモンドダスト」、李良枝「由煕」
- 第101回(1989年上半期) - 該当作品なし
- 第102回(1989年下半期) - 大岡玲「表層生活」、瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」
1990年代
- 第103回(1990年上半期) - 辻原登「村の名前」
- 第104回(1990年下半期) - 小川洋子「妊娠カレンダー」
- 第105回(1991年上半期) - 辺見庸「自動起床装置」、荻野アンナ「背負い水」
- 第106回(1991年下半期) - 松村栄子「至高聖所アバトーン」<ref name="asahi1992117">テンプレート:Cite news</ref><ref name="asahi1992227">テンプレート:Cite news</ref>
- 第107回(1992年上半期) - 藤原智美「運転士」
- 第108回(1992年下半期) - 多和田葉子「犬婿入り」
- 第109回(1993年上半期) - 吉目木晴彦「寂寥郊野」
- 第110回(1993年下半期) - 奥泉光「石の来歴」
- 第111回(1994年上半期) - 室井光広「おどるでく」、笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート」
- 第112回(1994年下半期) - 該当作品なし
- 第113回(1995年上半期) - 保坂和志「この人の閾」
- 第114回(1995年下半期) - 又吉栄喜「豚の報い」
- 第115回(1996年上半期) - 川上弘美「蛇を踏む」
- 第116回(1996年下半期) - 辻仁成「海峡の光」、柳美里「家族シネマ」
- 第117回(1997年上半期) - 目取真俊「水滴」
- 第118回(1997年下半期) - 該当作品なし
- 第119回(1998年上半期) - 花村萬月「ゲルマニウムの夜」、藤沢周「ブエノスアイレス午前零時」
- 第120回(1998年下半期) - 平野啓一郎「日蝕」
- 第121回(1999年上半期) - 該当作品なし
- 第122回(1999年下半期) - 玄月「蔭の棲みか」、藤野千夜「夏の約束」
2000年代
- 第123回(2000年上半期) - 町田康「きれぎれ」、松浦寿輝「花腐し」
- 第124回(2000年下半期) - 青来有一「聖水」、堀江敏幸「熊の敷石」
- 第125回(2001年上半期) - 玄侑宗久「中陰の花」
- 第126回(2001年下半期) - 長嶋有「猛スピードで母は」
- 第127回(2002年上半期) - 吉田修一「パーク・ライフ」
- 第128回(2002年下半期) - 大道珠貴「しょっぱいドライブ」
- 第129回(2003年上半期) - 吉村萬壱「ハリガネムシ」
- 第130回(2003年下半期) - 金原ひとみ「蛇にピアス」、綿矢りさ「蹴りたい背中」(最年少受賞)
- 第131回(2004年上半期) - モブ・ノリオ「介護入門」
- 第132回(2004年下半期) - 阿部和重「グランド・フィナーレ」
- 第133回(2005年上半期) - 中村文則「土の中の子供」
- 第134回(2005年下半期) - 絲山秋子「沖で待つ」
- 第135回(2006年上半期) - 伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」
- 第136回(2006年下半期) - 青山七恵「ひとり日和」
- 第137回(2007年上半期) - 諏訪哲史「アサッテの人」
- 第138回(2007年下半期) - 川上未映子「乳と卵」
- 第139回(2008年上半期) - 楊逸「時が滲む朝」
- 第140回(2008年下半期) - 津村記久子「ポトスライムの舟」
- 第141回(2009年上半期) - 磯崎憲一郎「終の住処」
- 第142回(2009年下半期) - 該当作品なし
2010年代
- 第143回(2010年上半期) - 赤染晶子「乙女の密告」
- 第144回(2010年下半期) - 朝吹真理子「きことわ」、西村賢太「苦役列車」
- 第145回(2011年上半期) - 該当作品なし
- 第146回(2011年下半期)- 円城塔「道化師の蝶」、田中慎弥「共喰い」
- 第147回(2012年上半期)- 鹿島田真希「冥土めぐり」
- 第148回(2012年下半期)- 黒田夏子「abさんご」
- 第149回(2013年上半期)- 藤野可織「爪と目」
- 第150回(2013年下半期)- 小山田浩子「穴」
- 第151回(2014年上半期)- 柴崎友香「春の庭」
- 第152回(2014年下半期)- 小野正嗣「九年前の祈り」
- 第153回(2015年上半期)- 羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」、又吉直樹「火花」
- 第154回(2015年下半期)- 滝口悠生「死んでいない者」、本谷有希子「異類婚姻譚」
- 第155回(2016年上半期)- 村田沙耶香「コンビニ人間」
- 第156回(2016年下半期)- 山下澄人「しんせかい」
- 第157回(2017年上半期)- 沼田真佑「影裏」
- 第158回(2017年下半期)- 石井遊佳「百年泥」、若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」
- 第159回(2018年上半期)- 高橋弘希「送り火」
- 第160回(2018年下半期)- 上田岳弘「ニムロッド」、町屋良平「1R1分34秒」
出典・参考
Wikipedia「芥川龍之介賞」
脚注・外部リンク
- 芥川龍之介賞 - 日本文学振興会
- 受賞者一覧 - 日本文学振興会
- 芥川賞歴代受賞者一覧表 - 誕生日データベース