摂取量によっては、カフェインが軽い覚醒作用をもたらすことが知られている。人によっては、この作用により睡眠障害を引き起こす場合もある。また、妊娠中や授乳中の人は、カフェインの摂取を控えるべきともいわれている。
健康な成人では、1日あたり3~5杯分のコーヒーに相当するカフェインを摂取した場合、身体に悪影響はなく、およそ3~4時間で体外に排出されてしまう。
安全性と適度な摂取量
カフェインは米国食品医薬品庁(Food and Drug Administration:FDA)、欧州連合食品科学委員会(Scientific Committee on Food:SCF、2003年に欧州食品安全機関〈EFSA〉から移行)、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(Food Standards Australia New Zealand:FSANZ)を含む世界中の140以上の規制当局により、食品への適量使用において安全性が認められている。摂取量によって、カフェインは軽度の覚醒作用をもたらすが、成人が1日あたり400mg(レギュラーコーヒー3~4杯分に相当)を摂取する場合、身体に悪影響はない(妊娠または授乳している人は除く)。
代謝
カフェインは、体内に蓄積されることはなく、健康な成人の場合、個人差はあるものの通常3~4時間以内に排泄。また、カフェインの感受性は個人差が大きく、摂取頻度や摂取量、体重や健康状態などにも左右される。
例えば、夜遅くにカフェイン入りの食品や飲料を摂取しても睡眠に影響しない人もいれば、少量のカフェインで眠れなくなる人もいる。カフェインを過剰摂取した場合、焦燥感、不眠、不安やイライラの原因となり、頭痛や不整脈、またはその他の問題を起こす場合もある。しかし、自分の体質に合ったカフェイン量を知っている人も多く、カフェイン摂取で不調になったことのある人は、摂取を控える傾向がある。
専門家は「小児、妊娠または授乳中の人、カフェインの感受性の高い人などは、カフェインの摂取を制限するかまたは避けるべき」と提言。カフェインの感受性は、妊娠や加齢により変化することがあるため、カフェイン摂取に関して、妊娠中、授乳中、妊娠希望の人は、医療従事者の助言に従う必要がある。
カフェインと健康
適切なカフェイン摂取量は、成人の場合、1日にコーヒー3~5杯、またはカフェイン入り炭酸飲料8缶程度と考えられており、この程度では健康上の問題を引き起こすことはないとしている。しかし、普段からカフェインを大量に摂取している人が、突然摂取をやめると頭痛やその他の軽い症状が起こることがある。
近年、特定の嗜好性食品を楽しむことに対して「依存症」という言葉が使われるようになり、このことがカフェインを含む食品や飲料には依存性があるという憶測を生んでいる。カフェインには軽度の覚醒作用があると考えられているが、カフェインを好んで摂取している人を薬物依存者と同等に扱うのは正しくないと、世界保健機関(World Health Organization:WHO)は指摘している。本当の意味での「依存症」であれば、減量や中止により重篤な心理的または身体的な問題がみられるはずだからである。しかし、カフェインの場合、こうした問題はみられないことが研究によって示されている。
カフェインの適量な摂取は、身体的活動および精神的活動のどちらにおいても良い効果があることが示されている。研究によれば、カフェインを適量摂取することで、一時的ではあるものの記憶力や論理的思考力が向上することが明らかになっている。さらに最近では、カフェインの適量摂取が、運動能力および持久力に良い影響を与えることも示唆されている。
しかし、小児に対しては、その体格に合わせたカフェイン摂取量が望ましいと十分考えられ、取り過ぎには注意が必要である(但し、コーラ飲料などに含まれるカフェインは、カルシウムの体内動態にほとんど影響しないことが研究で示されている)。
骨の健康にとって最も重要であるのは、カルシウムとビタミンDを十分に含む栄養バランスの良い食事をとることと、定期的に体重負荷運動を行うことである。国際骨粗鬆症財団(International Osteoporosis Foundation:IOF)も、カルシウムを十分に摂取していれば、適度なカフェイン摂取が骨の健康に害を与えることはないとの見解を発表している。